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  ホーム>髭講師の研修日誌

 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 

◆討議力の見事さが際だった研修

「現場の問題点、若手の意見をまとめて適切な対策案を進言する」「設備不具合、品質、安全面で問題があればすぐ連絡し、適宜対応へ支援をする」「仕事のこと、人間関係の情報を共有するために報連相を密にする」「まず、自分の意見を言って、上司の意見を最後までしっかり聞いて、方針や指針を刷り合わせる」「上司に手間をとらせないよう自分で判断、実行し、報告する」「残業依頼には対応する」「何が言いたいか、何をして欲しいかを感じ取り、管理者の立場を理解し、道理に合わせた味方となる」・・以上の提起事項は、先日の大手製鉄N社でのエバースマイル研修(55才社員・いつまでも笑顔で活躍する存在感づくり、2日間(筆者担当1日))での最終講での発表内容です。

 このグループワークのメインテーマは、ここまでの活躍貢献をさらに高めて、関わる人(社・職場、上司、後輩・・)に「おかげさまづくり」を施し、その施しに対して「おかげさまで、これだけよくなりました」と笑顔で感謝されるこの実績づくりをどう実践していくかをまとめ上げることです。ちなみにおかげさまづくりの施しは、次の5点です。

  専門力を生かした新、初、独自・・開発への関与
  経験知を生かした業務の改革(創意工夫)の実践
  事実のデータに基づき、難しい案件の解決に貢献
  技能承継の実践
  後輩管理者の補佐、支援

があります。いずれも 「さすがの技術力・専門力をたくさん持っている人」「経験豊富な人」として一目置かれる存在で、2つの強みのパワーを生かした貢献を成しています。この二つの強みとは、ひとつは、専門力でエキスパート、スペシャリスト、あるいは匠、マイスターなどと称される力量です。もうひとつは、豊富な経験の関わりで磨かれた人間力です。例えば、人徳、対人関係力、人脈、気が利く言動、職業経験を通しての哲学、座右の銘による事の良し悪しの判断力などがあります。この二つの強みを生かして、会社、上司、後輩に対しての貢献が、「おかげさま」の感謝の実績を残す活躍ぶりとなります。それは、「あの人がいてくれて良かった」と生涯に渡って感謝される足跡づくりともなるのです。

 そこで、最終講では「おかげさまづくりをどう実践していくか」をメインテーマとし、「キャリアをどう生かす」「技能継承の実践」「将来に向けた稼げる能力づくり」それに、冒頭の紹介内容の「後輩管理者の補佐、支援」を分科会方式でのテーマとしての討議実施です。そして、各分科会での提起事項を全体発表として、質疑応答および、他Gメンバーからの提起事項を全体討議し、内容の充実化を図ります。さらに、総括、助言を研修担当者(60才以降のキャリアを共有化できる人材育成担当者あり、外部の筆者よりも現実の確認、実施するうえでの課題、実施の効果などを的確に捉えている)のN氏の見事な助言を加えて、受講者全員での共有事項としました。そして、今後の活躍に各自の活躍環境(立場、役割・・)に落とし込み、新たな実践による「おかげさまの事実づくり」による笑顔づくりを愉しむことになります。

 さて、グループワークで捉えたさすがの事実は提起内容に加えて筆述すべき事実は、「活発なる討議経過」でした。 それは、今回の討議時間は30分。発言の交わし合い、意見の集約、進行者の手腕、メンバーの協力、書記役、報告者の役割をミニ講義し、討議成果の発表用紙の作成をゴールとしました。ゴールとした各分科会の発表内容は一例を紹介したとおり、今後の活躍の良きヒント集となりました。それには、多分に討議の見事な実践事実があったからです。

 そこで、今回はこの、会議に(ミーテイング・打ち合わせ、話し合い・・)着目し、衆知の結集を生み出すうえでの、出席者として、又、進行役を愉しむ留意事項を提起し、お役だてといたします。

◆議して、決する会議の楽しみ方

①会議の目的の確認
 まず、会議の目的を確認してみますと大別して次の3点です。

1)報告事項を主として「現実を共有化」して承認する
2)個別異見(各自の考えは皆違う)を議して、衆知を結集した最適な考えを産みだす
3)実行に向けての意思決定を行う

  総意として行うことにより実行に向けての協働関係が確立できます。従って、会して議さず、議して決せず、決して実行せずでは正におざなり会議にすぎません。

②出席者としての心へ

1)出席者に選ばれた感謝
 
衆知を結集し、決定事項を推進して新たな組織貢献を産み出す、それには会議出席の貢献が問われます。会議出席方法は、集合、オンライン・・様々ですが、出席者としての責任及び、貢献を楽しむうえで肝心なことは、「出席の機会をいただきまして、ありがとうございます」と選ばれ発言の機会を頂けた事への謝念を持つことです。

2)成すべき8事項
 
出席者としての果たす役割は周知のとおり
 ○発言する=自分の考えを提供する
 ○賛否の提示=相手・総意に賛成・否定の判断による意思表示をする
 ○情報提供をする=必要な情報の提供
 ○確認する=発言内容を確かめる
 ○反論する=必要により他の意見に反対の考えを出す
 ○質問する=疑問に思った事項は正しく理解するために訊く
 ○応答する=質問に答える(即答・後日
、次回答えるとの約束)
 ○依頼事項に対応する=進行役からの依頼事項に快く協力する  
 ということです。

3)発言する話し方の心へ
 
1>あらかじめ趣旨を箇条書きにまとめ、=一つ目は〇〇、二つ目は〇〇。三つ目は〇〇、と整理し、「こう考えます」と発言事項を際立て、「なぜならば」と理由・根拠付けを用意します。この場合 事実と意見は明確にすることが肝心。
 2>センテンスは短くする=「…けれども」「…して」と、言葉をつないでいくのは、ダラダ ラして、主張点をつかみにくくします。センテンスは短く、「……です」「……ます」と区切ります。
 3>正しく理解を促すように言葉を補う工夫をする= 資料の活用(レジュメ・パワーポイント・スライド等)や実物で理解しやすいような工夫。

4)異見が交わされ、決定への協力
 三人寄れば文殊の知恵と言われます。それは、個々の異見の成り立ち(経験、見識、情報、想像、創造、価値観等による個々の正論)を交わすことにより、三人の考えの成り立ちが共有化でき、その総合力から、新たな考えが編み出される重要性を説いています。

 従って、各自が、異見を発言する→聴く反応→他メンバーの異見を組み込み→練り直す→総合意見としての集約→決定のプロセスを経る事が肝腎なのです。もちろん集約、決定は会議の目的に合致していることです。

5)発言時の心へ

1>独りよがりや一方的な押し付けは避けます。そして、組織的、社会的な見識に立って自分の年齢、立場、参加者との関係性などを考慮して話し方の配慮です。上から目線、断定する、差別や不快感をもたらす言葉には気をつけます。

>発言の機会をひとり占めせず、他の人に譲る配慮
 
 決して、自分の意見が絶対だなどの鼻高発言の長い話し、「これもある」、「あれもある」の独り占めは、雰囲気を壊わします。会議の進行,時間経過を意識し、議論の進展をわきまえます。ましてや、言い足りなかった不満が決定事項に対する非協力的になる輩は会議の目的違反者です。

>質問には感謝の心で応答
 質問は、興味いだいた、当事者意識を持ったことの証ですので感謝です。従って、「ご質問いただきありがとうございます。その点につきましては・・」と回答の的を,言葉か、内容の不明確さか、それとも質問の為の質問かの見極め、分かりやすく答えます。

③意見を引き出す進行役の施し

 
当研修での討議の活発化で、なるほどと捉えた一因に進行役の素晴らしさがあります。現実には、会議の進行役として議長、司会役、リーダーと呼称は様々あり、その役割の担い手は役職者であり、会のリーダー、時には、順番性などがありますが、昨今は、フアシリテーター的役割の施しが期待されています。

1)引き出しの質問の5つの施し策

 
周知のとおり、フアシリテーションとは、会議の目的に対して円滑に物事を進め達成することであり、常に会合の方向性を見極め、進行を務めることです。従って、引き出す、異見を関連させていく、その過程で出される意見を関連させ、分類、括りを適宜行い、偏りのない総意の集約を心していくことです。この工夫には「見える化策」を施し、板書、メモの貼り付けなど施す事が効果的です。それは、発言の機会を創っていく工夫。その策として質問の投げかけ方は5通りあります

1>全体に投げかける=「それでは、どなたからでも結構ですから、ご意見をお願いしま す。」と自発的に、かつ均等に発言する機会づくりです

2>特性別に促し=<1>で、でなければ、緊張感をかき立てます。それは発言しなければとの当事者意識を駆り立てで、例えば、○「職種・部門に着目「営業の方からの意見ありませんか」 ○キャリアに着目、「新人の方からの意見も欲しいですね」 ○立ち位置に着目「上役の立場では如何でしょうか」などがあります。

3>指名での促し=例えば「それでは○○さんいかがですか」との引き出しです。この際、発言したくても慣れていない、手を上げる勇気がない、指されたら発言しよう(出しゃばらない保身者)と各自への気配りが大事です。もし、発言されて言葉足らずの人には「こういうことですか」と確認する支援もほどこします。

4>リレー質問一人の発言内容に関連させて、「それでこの件では○○さんはどう思いますか・・」と繋げていく方法です。

5>キーパーソンの活用集約困難の場合、時には、テーマに関する一番関係のある人であり、参会者がこの人の言うことならばと一目置かれる人に、「○○さん、この件についてついご意見を参考にお話し頂けませんか」と問いかけます。

2)発言しやすい工夫策
 
 発言になれていない、発言者が偏るなどの時には、次の工夫も効果的です

1>事前に資料を配付し、意見を記して出席頂く。可能ならば、その意見を事前連絡いただき集約しておく。これを活用して会議どきに活用します

2>発言の促し前に、その場でメモをお願いし、それを読み上げて頂く

3>発言をポストイットカードに書いて貰い、貼り付ける

4>関連する内容を島にして、さらに加え策を呼び掛ける

5>ブレーンストーミング法を活用します

 自由なる発言、数を出す、批判しない、他の人の意見に便乗OKなどの約束事を確認し、出された意見を書き、見える化し、次から次への智恵が湧き上がるような引き出し技法です。さらに、出された意見を評価として、可能性・効果性、需要性・緊急性など5点法で総合点化、総意の決定を成すことも可能です。

 
 如何であろうか。勿論、実施方法は、集合方式、オンライン方式などテーマ、参加者の時間確保、会場までの行程の特性など踏まえた実施策はあります。しかしながら、筆者の研修現場は、関係者が直に会して、異見を交わし合い、衆知を結集することが楽しい。

 この事は、組織活動での会議類にも共通することです。それは、最適な出席者として選ばれた謝念、それは、組織で認知された存在感であり、信頼感の証です。

 だからこそ、謝意を持って、会議に出席し、「あなたの発言のおかげです」「あなたの進行役のおかげです」と組織の新たな強みづくりの生み出しに貢献できることは、生涯に渡る足跡の実績です。

 ポンプメーカーO社では、幹部の話力教室として、ミーテイングでの発言促進の話し方策を既に学び合った。それは、若手社員の「仕事を愉しむ」「働きがい、やりがいがある」との実感づくりへの働きかけです。「若い人の意見も生かそう」この施しが、今だからこそ必要と実感です。

 
「将来に向けて、N社のベテラン社員のさすがの施しが、後輩の活躍の楽しみを喚起し、「ありがとうございます」「お役に立った1!」と相互に喜びの交わし合いの笑顔を描く昨今は、実に嬉しい。

 (2024年6月 研修・講演髭講師 澤田 良雄記)------------------------------------------------------------------------------------

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