◆小規模企業の小集団集団活動が面白い
それでは20分間「仕事をスムーズに進めるためにはどうするか」意見を出し合いましょう。出し合うルールは4つです。一つは批判厳禁です。これはどんな発言であっても一切批判めいたことは言ってはなりません。こうすることによって誰もが気兼ねなく発言できます。二つ目は自由奔放つまり、常識外れ大歓迎です。バカバカしいあまりにも突飛過ぎる、常識外れだと思われるものでもどんどん出します。
三つめは数を多く出す事です。とにかく多ければ多いほど良いと心得てください。10~20と言わず100や1、000を出す出すつもりで出します。
4つめは、他人の意見に便乗大歓迎です。これは、他の人の意見にヒントを得て、ちょっと変えてみるとか、具体的に掘り下げてみると考えが沸きます。ですから「○○さんの意見と似ているじゃないか」これ大歓迎です。事務のWさん、Kさん出された意見を記録してください。二人をレコーダーと言います。Wさんは奇数,Kさんは偶数を受け持ち模造紙に交互に書いていきます。それでは始めます」
「ハイ・・・」「ハイ・・・」「ハイ・・・」と次から次へと出てくる。意見が詰まってきた。「ここまででてきた意見を確認してみましょう。・・この辺をもう少し便乗してみましょうか」と誘いを掛ける。「うーん・・・・」「よしこれでいこう」また詰まってくる「後30個まで5個です。30個まで伸ばしましょう」と目先の目標を決める。「ハイ”30個行きました。やったーみなで拍手」9人で交わすハイタッチと笑顔が良い。
建設関係工具メーカS社の小集団活動情景だ。6会合を重ねて今回は、改善策の検討である。その取り組み法としてBS法の活用を指導し、その演習である。
「いかがでしたか。結構意見が出ましたね。楽しかったですか。」「意外と多くでる物ですね。」「改まって意見を出すよりも何でも良いから出して良い。この気軽さがいいんですね」「普段あまり意見を言わないHさんが結構出してましたね。」目線を送るとHさんの照れが良い。「この方法はアイデアを引き出す技法として広く活用されているブレーンストーミング法(BS法)と言います。ブレーンとは頭脳、ストーミングとは嵐です。今の嵐の大きさは中ぐらいの台風でしょうか」すかさず「いや私たちにとっては大台風でしたよ」Oさんが答える。「そだね」(笑い)とEリーダーが受ける。実に和やかだ。日常製造ライン、物流、事務所で黙々と活躍するメンバーである。S社QCサークル活動は2サークを編成し3月にキックオフした。
既知のとおり我が国での小集団活動の主たる名称としてはQCサークル(品質管理活動を具体的ぬ進める方法として職場で少人数のグループを作り、問題解決に取り組んでいく方法、現在でも全国的規模で推進されている)や、JK活動(自主管理活動として主に鐵鋼メーカーで推進)またZD運動(ゼロ・デイフックツ・仕事のミス撲滅・不良低減にあり窮極的に欠点0も目指す)考える小集団、改善サークル等が主である。いずれにしても第一線で活躍する社員の「自分たちの仕事は自分たちで良くしていこう」とのボトムアップ活動だ。だからこそ、産み出される効果としては
①自分の考え方を仕事の中に生かす事が出来、職場での自信と存在感が持てる
=モチベーション・モラール向上
②目標達成の喜びを味わうことができ、役割を果たす事での次への活力となる
=喜働の享受
③リーダーの役割をまっとうすることによって、リーダーシップを高め、管理能力、人格が向上される。 =次期リーダーの養成
④自ら考え、実行する習慣が体得でき、仕事の理解を深め、企業体質の絶え間ない発 展に寄与する事になる。 =積極型活躍気質による貢献力
⑤問題解決に一連の活動により、諸技法の習得、改善能力、論理的思考力、発言力等 などの能力が向上する。 =育成、能力アップ
⑥全員参加による相互の人間的触れ合いを成す事から、対人関係や協力関係が円滑となる。
=組織活動の活性化
⑦必要に応じた上司との支援関係により上下のコミュニケーションが良くなる
=上下の良好関係
⑧活動と発表(社内・職場だけでなく、時には社外でも発表会が開催される)ことに よってより幅広い視野と知識を広め、人間的成長がはかれる。=社会性の向上
等がある。下から沸き上がる活動は、各自の意欲、潜在能力を活かせ、向上心よる学びで成長し、産み出す成果は結果は職場(組織・企業)への貢献となるのだ。 先日、S社サークルメンバーからの声を集めた。「普段考えていても中々出す機会がなかったがあれこれ意見を出し合うことは良い」「他の人の考え方など聞けて視点が拡がった」「カードによる気になる問題点の抽出、「特性要因図」はどうするのかと思ったがやってみると結構でき、面白い」「職場、社内を歩くときでも「おやっ」「あれっ」と今まで気にならなかった事が妙に気づくような気がする」「普段考える、話す、文にする事はあまりない事、結構疲れる、でもできあがった模造紙をみると嬉しい」等の声がある。まだ活動も半ばであるがトップ幹部の導入目的に整合する事もあり、各自の実施への評価もまずまずである。
◆第一線層の人材育成策としても最適である
筆者は民間企業での人材育成担当の時、一般社員層の底上げ能力アップ方策としてに小集団活動を導入、先頭に立って推進を率いてきた。それは、前記した産み出す効果は人材育成そのものと確信したからである。しかも 与えられた学習でなく、自ら求める学びであり、試しであり、実践、実効(学びの効果・成長)の体得である。
ストーリー基づく問題解決・改善技法・QC手法始め、創造力向上スキル、ミーテイングを活発化されるカード活用法などの学習・・・など支援指導を施した。その頃の社友と会うと「200人の前での発表、2日間眠れなかった。でも頑張り、グループメンバーに「良かったよ」肩を叩かれ、社長からお褒めの言葉を頂いた思い出は宝物です」とラインで活躍していた女性社員であり、掃除のおばさんでもある。できなかった自分たちができてくる、できた達成感と褒めのシャワーを満喫できる喜びは、困った時の新たな学びや体験を重ねてきた証である。
現在もこの案件への指導支援を施すと共に、この部分的利点を各種研修に最適に取り入れてもいる。それは個別の意見の策定を踏まえ、グループワーク、ワークショップへと導きである。現状の把握から現状改革の提起事項のまとめでも。4~6人の異なった条件を持ち寄っての異見の交わしだからこそ集約される提案は質が高い。異の条件とは、勤続、性別、職種、キャリア、業種、役職、地域、学歴、趣味、特技など研修による特性により様々である。
人は人中で育つ。異なる特性だからこそ、その学びの種は多岐にわたる。
◆「私は素人です」「えっどういう事」それは・・・
周囲には職場の第一線層の小集団活動動に限らず、活動の構成、目的の特性により、多種多様の小規模グループの活動が多い。一例を紹介しよう。N県に高原リゾートBがある。自然との戯れ、スポーツ施設での楽しみ、地元の食材での料理を満喫、温泉でのゆったりした時間も嬉しい。評判良く利用者も多い。先般、利用者限定のバスツアーに参加した。案内者のSさんが「私は素人です。」と開口一番の挨拶である。「えっどうゆう事」「この四つ葉のクローバーのマークのついたプレートがその理由です」と説明する。ツアー中、問いかけの機会を活用しお聞きした。「クローバーのメンバーは、バスツアーのガイドをしたいと希望する社員です。日常業務は調理、ホテル内営業、外部営業、レストラン、自然施設の担当、緑地管理等様々な担当者です。ですからガイドは素人です。だからこそ皆で学習します。ツアーを考案し、ガイド内容を作成し、練習です。他の人のガイドぶりを観て取り入れることもあります。お客様に喜んでいただく、その楽しみの希望で自ら選んだ役割です。ですから、素人だからとの甘えはお客様に失礼ですよね」Sさんはホテル内営業担当だが、案内内容も豊富、笑顔、声の響きも良いし、ユーモアも入れ見事、地域名所の問いかけもあり、時には国内ニュースも取り入れて問いかけもする。お客様を取り込んでのガイドぶりも良い。昨年お世話になった方に再会し感想を紹介。「Sさんはよく話すでしょう。一所懸命勉強してます。評判良いですよ。勿論他の人もですよ。」とのことだ。マルチ社員、多能化社員、本来業務の他に当社で働く更なる楽しみを自らつくる。こんな経営戦略であるとの説明も伺う。自らの成長を理念とし、2025年には、県内で働きたい企業一番を目指すB社、さすがの社員への施し戦略の一端である。
ちらちら雨が落ちてきた。帰路のバスに乗る。お送りの挨拶者は作業服だ。「お別れの寂しさを表す涙雨です」うまい。(仲間K氏の感動の一言)何している人。緑地グランドマスターの現職社員である。四つ葉のクローバーの花言葉は幸運。誠実、一所懸命なる素人のガイドに諸処の学びと楽しみを満喫できた小生等は幸運であった。
◆活動時間への思い切った配慮が肝腎
活動での最もトップの配慮はどう活動時間を提供できるかであり支援指導体制である。昨年、半年間指導支援したS社では、サークルからの活動時間の申請にトップの思い切った時間の提供(就業内、後)が活動のスムーズな推進となり、見事な発表会に漕ぎ着けた。推進事務局と小生の連携も密としたことも事実。
BリゾートクローバーメンバーSさん「今、ガイドが終わりましたので職場に復帰します」とのこと。学習は原則就業時間外、活動は就業時間中で職場でOKとしている。現在支援・指導のS社では、サークル活動の時間O社長が代わりに現場に入り可能な限りの生産活動のカバーをなす。小企業だからこその支援策である。
S社の活動もいよいよ改善へと進む。必ず、改善策の決定に基づき改善を施し、効果検証へと進む。必ず、テーマ解決を完遂すると確信しての支援の楽しみである。
働き方改革とは、方は遂行方法その方法を変える事である。そこには第一線のボトムアップによる改善活動が不可欠である。改善は効率化を産み、生産性の向上をなす。 昨今、見聞きする論評に、ならばどうすると考察し記してきた今稿である。
<小集団活動支援指導いたします。>
***髭講師の最近の出講は、***********
●F県経営者協会の新任管理職研修
毎年恒例のセミナー。選ばれた凄さと期待される活躍の確認。活躍実践の組織力の活用。 リーダーシップの実践のコミュニケーションスキル、部下育成手腕の実践等を指導。 演習、異業種交流を組み入れ今後の外部ブレーンの出会いとした。さすが選ばれた管 理者、自己の考えを持つと共に他の方からの説を柔軟に入れ込んでいく姿勢が良い。
●中堅企業メーカーの中堅社員セミナー
3年から9年の勤続社員対象。第一線の核たる立場での意識、役割、活躍の楽しみ、任 された仕事のリーダーとしての協力関係づくり、説明力のスキルアップ、自分磨きの実践法について演習とワークショップを組み入れ参画型研修の実施。研修が進むにつれて取り組み姿勢の積極性の深まりが面白い。12人の受講者で例年の定番セミナー。
●話力スキルアップ実践セミナー
●小集団活動の支援指導
*新年度、各所、各社の人材育成の年間計画を作成する時期、ご相談に応じる事と共に小生の新たなエネルギーを蓄える視察、意見交換、受講の時とした。
◆御社・団体で実施をお考えの研修イメージがおありでしたらご一報ください。ご相談・ご支援いたします。
(無料)当メールでご返信ください。お待ちしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新人も入りました。昇進昇格もありました。先輩にもなりました。それぞれ心新たに2ヶ月過ぎました。活躍ぶりを確認し、しっかりと期待に応えた活躍を確かにするときです。だからこそこんな研修の機会を求めている社員です。受けたい時にタイミングよい学びの機会が有るこのベストマッチングを生かして参りましょう。
指導に尽力いたします。
(平成30年6月
研修・講演鬚講師 澤田良雄筆)
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